食事介助をする際の注意点

介護の仕事は、利用者の生活習慣を見直すことから始まります。例えば、毎日の食事は生命を維持するとともに、健康を保つために欠かすことができません。特に一日をほとんど寝て過ごす利用者にとって、食事は大きな楽しみとなるでしょう。自分で食べることが基本ではありますが、本人が長年生活習慣としてきた食事の仕方を、正していくことも食事介助の大切な仕事となります。

ただし、介助する場合にも本人のペースでおこない、時間をかけて修正をすることが大切です。例えば、ベッドから起きて食卓に座るという基本は、体調を見ながら行う事になります。食卓に座って食べられる場合は、椅子に腰掛けてテーブルと体の間に隙間ができないように配慮する必要があります。これは、食事をこぼすという「本人の恥ずかしさ」を避けることにもつながるでしょう。食事のメニューを説明することは、食事を楽しいものにする会話で、一人黙々と食べさせては食事の意味がありません。長々と話すのではなく、「野菜をつぶして味付けをしています」といった一言で箸がのびるものです。

食欲がない人には、事前にお茶などを飲ます工夫をするのも仕事の一つになります。唾液の分泌が少なかったり、入れ歯の具合が悪いと食欲に影響します。器を工夫したり、季節感や彩りを考えた盛り付けをすることで食欲を誘い、楽しんで食事ができることもあるのです。また、食事介助だけではありませんが、利用者の生活習慣を良く聞くことも大切です。施設に入れば、新しい環境となるため習慣が変わり、抵抗を感じていることもあります。配慮ひとつで、昔の習慣を思い出して元気になる人もいるのです。